親のトイレ介助が辛い。心身をどう切り替えればいい?

トイレの介助は身体的にも精神的にも負担がかかりやすいもの。いくら相手が親と言っても、はじめはどうしても抵抗感がありますよね。介助は“する側が辛いときはされる側も辛い”と言われます。

互いが気持ちよく支え合えるために工夫出来る点について考えてみましょう。

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身体的な負担の減らし方

おじいさんの乗る車椅子を押すヘルパーさん

人の立ち座りを手伝うのは容易なことではありません。介助する側とされる側で体重や身長に差があったり、筋力低下や手足の麻痺など身体に不自由なところのある方が相手であれば尚更です。しかも、トイレは1日に何度も介助が必要になるもの。

介助者が腰を痛めたり、一緒に転んでしまっては大変です。トイレ介助を行う時の身体的な負担を減らすにはどうしたらいいか、その方法を紹介します。

便座を高くして立ち上がりを楽にする

低い場所からの立ち上がりはお尻を持ち上げるのに大きな力が必要です。便座の高さをほんの少し高めにすることで少ない力で立ち上がれます。腰を掛けたとき、膝が直角に曲がる高さよりも2〜3cm高くするのがおすすめです。あまり高くしすぎると滑り落ちる危険があるので注意してください。

便座の高さを上げるために“補高便座”という介護用品があります。便座に置くだけで高さを上げることが出来るのでとても簡単です。介護用品店などに置いてあり、介護認定を受けた方は購入時に補助の対象になります。

手すりを付けて立ち上がりを楽にする

足腰の力が弱い人の場合、手すりをつけて腕の力を利用すると立ち上がるのが楽になります。特に縦型の手すりは強い力を発揮しやすく、バランスを崩したときにも咄嗟に掴みやすいので一本あると安心です。

トイレの横にくる壁に付けるのがおすすめです。横の壁に付けられない場合は、トイレの前にくる壁に横型の手すりを付けると良いでしょう。手すりを掴むときに前のめりになることで重心移動を促し、お尻が持ち上がりやすくなります。

アパートなどで工事が出来ない場合は、トイレを跨ぐように置く肘掛けのような手すりもあります。両手で手すりを押すようにして楽にお尻を持ち上げることが出来ます。

力を出しやすい足元を作る

足腰の力を十分発揮出来るようにする為には、足元の環境も大事です。床に敷いているマットは滑りやすくありませんか?脱げやすいスリッパを履いていませんか?こうした環境では立ち上がるときに踏ん張りが利かないばかりか、滑って転倒してしまう可能性もあり、とても危険です。

実は案外こうした小さなことが原因で骨折してしまう方も多いのです。しっかり地に足を付けることで安定感がアップし、介助する側もされる側も楽になります。一度、トイレ周りの足元をよく確認してみましょう。

ポーダブルトイレで空間を広く使う

トイレが小さい家だと、介助する側とされる側2人が一緒に入るのは難しいこともあるでしょう。人ひとりを支えながら狭い空間に入って介助するのは容易なことではありません。かといってトイレを広くするには多額の工事費用がかかり、こちらもそうそう気軽に出来るものではありません。こんな時はポーダブルトイレも選択肢に入れると良いでしょう。

ポーダブルトイレとはベッドの横などに置く簡易トイレのことです。居室に置くことになるので抵抗感を持つ方もいますが、場所を移動出来るので空間を広く使えるよう工夫できますし、要らないときは片付けることも出来ます。最近は“いかにもトイレ”ではなく、木で出来た高級感のある家具調トイレや、イタリアのデザイナーが作ったオシャレなトイレなどもあります。

精神的な負担の減らし方

トイレの臭いにストレスを感じる女性

トイレは日常生活の中でもとてもプライベート性の高い項目の一つです。介助する上で恥ずかしさや気まずさを感じたり、介助する・されることがストレスになることも多いでしょう。こうした気持ちを和らげるにはどうしたら良いのでしょうか。

匂いのストレスを減らす

特に介助される側が非常に気にするのは匂いの問題です。恥ずかしい、申し訳ない、と介助者に対し心理的に距離を作ってしまいます。介助する側もやはり抵抗感を持ちやすい項目です。

自宅のトイレであれば、換気扇をまわす、少し窓を開けておくなどの対策があると良いでしょう。ポーダブルトイレを使用する場合は部屋に匂いがこもらないよう、専用の消臭剤が市販されています。液体タイプ、粉末タイプ、シートタイプなどがあり、ポーダブルトイレの中に入れておくだけで嫌な匂いを抑えてくれます。

具体的な対策は、在宅介護で気になる『便臭や尿臭』への効果的な対策とは!?をご覧ください。

失禁が続くときは

高齢者は排尿の間隔が狭まりやすいです。そして尿意を感じるまでが遅く、感じてからは早いのが特徴です。我慢が続かず、時折失禁してしまうこともあるかもしれません。移動している間に漏れてしまうのであればポーダブルトイレで移動距離を短縮するのも手です。

また、尿意を感じるよりも早く誘導することで失禁リスクを減らせます。どうしても漏れてしまうということであれば、紙製リハビリパンツや尿取りパットなどがあると、万が一の時に簡単に取り替えることができ、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。

トイレに連れて行く、その行為の先にあるものを知る

 トイレに行くことは排泄だけが目的ではありません。“トイレに行く”という行為の中で、立ち上がりや歩行の練習となり、筋力低下を予防することが出来ます。こうして生活の中に動きを取り入れていき、生活自体がトレーニングの機会になることがとても大事なことなのです。

更に、時間を決めてトイレに行くことで見当識(今は何時頃、といった感覚)が維持されたり、“トイレで排泄出来る”ことで自分に自信を持つことが出来ます。トイレ介助を行うということは、介助をされる方を心身ともに助け、人としての尊厳を守ることでもあるのです。介護は孤独感や無力感との戦いでもあり、「誰にも認められない、何にもならない」と思うこともあるかもしれませんが、実はとても素晴らしい人助けをしているんです。

一生続く訳ではないことを理解する

 日本人の寿命はどんどん伸びており、厚生労働省によると平均寿命は男性80歳、女性87歳です。「この介護生活がいつまで続くんだろう」と、先が見えない不安から介助者が鬱になってしまう事例もあります。

しかし、こうした介護生活が一生続くわけではありません。高齢者は複数の疾患を抱えている方も多く、状態がめまぐるしく変わるものです。元々ある病気が再発したり、新たに何かの病気になったり、怪我をしたりする中で、短期間でトイレのスタイルが変わっていくことが十分考えられます。「あのとき手伝ってあげていれば良かった」と思うのもまた辛いもの。息抜きをしながら、出来る範囲のことをやっていくことが大事になってきます。

どうしても参ってしまいそうになったら

介護で疲れ切っている女性

 身体的負担、心理的負担を軽減する方法について紹介してきましたが、それでも辛くてたまらなくなることがあるかもしれません。介護疲れから介護鬱になった、心中してしまったなど、ショッキングなニュースを耳にすることもあります。特にまじめで努力家な人ほど「親なのだから助けないと」と自分を追い込みやすい傾向にあります。

大変なことになる前に、本当に困ったときの逃げ道も考えておきましょう。また、家でお手軽にできる憂鬱を吹き飛ばす方法も参考にしてください。

トイレに行かない方法を考える

トイレに行かないという選択も一つの手です。

例えば、尿意を感じたらしびんを当てる、夜間はオムツをあてて朝になったら取り替えるなどとすれば、日に何度もトイレへ往復しなくて済みます。しびんと似ているもので“自動採尿器”というものがあります。レセプターが尿を感知して吸い取ってくれるので、常に綺麗な状態を保てます。

トイレに行かない方法をとるための参考として、高齢者用のおむつ選びのポイント使い捨て防水シーツもご覧ください。

手を借りる・手を抜く・リフレッシュする

介護認定を受けているのであれば、ホームヘルパーの助けを借りるのも良いでしょう。また、デイサービスやショートステイなどお出かけやお泊まりのサービスを利用して、介助者が休む時間を作ることも大事です。

仕事をやめ、交友関係を減らし、生活が介護一色になってしまうと疲労がどんどん蓄積して、発散する場がなくなります。お友達とのランチ、ショッピング、散歩等々…。楽しい!と思えることをして明日に向けたエネルギーを充電していきましょう。

介護仲間を作って支え合いましょう

自分と同じように親の介護をしている“介護仲間”を探しましょう。デイサービスなどの利用者同士でお話をしても良いですし、家族会の情報を地域包括支援センターなどに問い合わせても良いです。悩みを相談したり、アドバイスを貰ったり、時にはちょっと愚痴を言ったりして、ストレスを一人で抱え込むのを防ぎましょう。

トイレの介助は確かに大変なものです。ですが、負担を減らす方法が無い訳ではありません。“頑張りつつ、頑張りすぎない”ことが大事です。介助する側もされる側も、お互いに笑顔でいられる方法を探せるといいですね。

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