住宅火災の72%が高齢者?火事を防止するためにできることとは

「マッチ一本、火事の元。火の用心。」の威勢のいい掛け声と共に、拍子木を鳴らし、火災防止を呼びかける、夜回り。かつては、どこの町内会でも行われていました。この掛け声を聞くと、各家々が火の元を確認したものです。

江戸時代にさかのぼる夜回りの風習は、空気が乾燥し、北風が強くなる冬に、火事が多発していたことに由来します。江戸の人々の多くは、木と紙の燃えやすい建築資材でできた長屋住まいで、小さな火災でもたちまち隣家に燃え移り、大きな火災につながりました。そこで、一軒々が火災を起こさないように注意することが絶対に必要だったのです。

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高齢者と住宅火災の関係について

現在でも、日本の家屋は欧米に比較して木造建築が多く、特に都市部においては住宅が密集しています。長屋とまでは言わなくても、江戸時代と変わることなく、火災防止に地域ぐるみで取り組みが重要なはず。しかし最近では、夜間の呼びかけや拍子木が騒音としてクレームが出たり、高齢化で町内会が成立しない等の理由で、このような夜回りが行われる地域はすっかり少なくなりました。

地域で連携して火災防止への注意を呼びかける風習が消滅しつつある中、今は各世帯や各個人での火災防止に向けた対策が求められています。

その中でもとりわけ注意が必要とされるのは、高齢の一人暮らしや夫婦だけの世帯です。

消防庁は6カ月ごとに消防統計を発表しています。昨年末に出された最新の統計データ「平成29年1月から6月における火災の概要」によると、火災事故による1万件超の建物火災の半数以上を住宅火災が占め、その住宅火災による死亡者数537人のうち、なんと72%が65歳以上の高齢者でした。出火原因のトップは、事件性のある放火もしくは放火に準ずるものですが、ほぼ同数で「たばこ」が挙がっています。それに「たき火」、「コンロ」が続き、この3つは常に出火原因の上位です。

若い世代と異なり、高齢者は素早い行動がとりにくいため、消火は困難です。消火訓練も大事ですが、より大切なのは火災を出さないための対策をとること。少子高齢化が急速に進む中、高齢者の一人暮らしや高齢者夫婦世帯は今後益々増加します。火災報知器の設置は当然のことながら、それ以上に高齢者住宅の火災を防ぐためにできることは、何でしょうか?ここからは、火災防止に有効な具体的な方法をご紹介していきます。

火の元になる生活機器の見直し

家の中で火を使う場所として最初に思いつくのは、台所。台所は、火災発生の危険がいっぱいです。ガス式コンロや、ガス式湯沸かし器などの直に火が出る機器は、火の消し忘れや袖などの衣服への引火から火災を引き起こす危険性があります。自動的に火が消えるタイマー付きタイプや、IH式コンロに交換することで、その危険性を小さくできます。

火災の多くは、寒い冬に発生しています。その出火原因となるのが暖房器具で、直に火を出す灯油ストーブからの引火や発火、小型電気ストーブの転倒等が挙げられます。これらの集中的に火や熱を出す機器は、エアコンや床暖房等の部屋全体を温める機器やシステムに交換することで、火災を防げるだけでなく、手入れも簡単で、車いす利用者がいる高齢者家庭ではスムーズな室内移動が可能になります。

高齢者の方々は、物を大切にするあまりに、劣化した電気製品を使い続けている場合が少なくありません。劣化した電気製品は、コンセントやコード部分の強度が低下し、発火しやすくなっています。コタツなどの特定の季節だけに使用する製品にありがちです。明らかな故障が無くても、10年を超える電気製品は目に見えない箇所で問題が発生している場合があり、買い替えの検討が必要です。買い替えをきっかけに、積極的に安全装置が備わった製品を取り入れていくことで、火災防止につながります。

火事を起こしやすい生活習慣の見直し

住宅火災の要因が、高齢者ならではの生活習慣の中にみられます。若い世代に禁煙者が増加する一方、高齢者世代には喫煙者が多く、そのタバコは高齢者の住宅火災要因の最上位を占めています。就寝前や昼寝で、うっかり消し忘れたタバコから火災が発生しているそうです。

寝る前のタバコは控える、電子タバコに変えてみる、または、健康のためにもいっそ禁煙する等、喫煙習慣の見直しは、火災防止に有効です。

毎朝仏壇にロウソクを上げるという習慣も、高齢者に多くみられます。ここでも、完全に消えていないマッチやうっかり消し忘れたロウソクが原因で、火事を起こす可能性があります。本物のロウソクから、ロウソク型をした小型電気照明具に置き換えることで、火事の危険を回避でき、大切な習慣を安心して続けられます。

高齢者の物忘れを詳しく知りたい方は、高齢者は何で忘れる?物忘れの理由と5つの忘れ物防止グッズとはをご覧ください。

まとめ

ここまで、高齢者住宅での火事を防ぐためにできることを紹介してきました。家の中に火事を起こす可能性がある機器や生活習慣が無いか、早速確認してみて下さい。そして、もしあれば、交換する等の行動に移して下さい。

火事を起こさないことが一番大事ではありますが、万が一火事が発生した際にとるべき行動も日頃から意識しておきましょう。火災による死亡事故の多くは、火ではなく、煙です。火災が発生した場合は、煙を吸わないように、口をハンカチや手ぬぐいなど身近にある布類で覆うことが大事です。

そして、注意しなければならないことは火事だけではありません。高齢者ドライバーによる事故もそのうちの1つになります。詳しくは高齢者ドライバーの事故を予防するためにできることをご覧頂ければと思います。

できるところから少しずつ、高齢者が安心して暮らせる環境を届けていきましょう。

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