「じょくそう」は医療、介護の世界では「褥瘡」と書きます。
介護をしていると褥瘡という言葉を耳にするかと思います。
褥瘡は、身体の一定の場所に長時間体重がかかり、圧迫されるなどして出来てしまいます。
高齢者の場合、一度褥瘡が出来てしまうと治るのに時間がかかったり、すぐに悪化してしまう事が多くあるため、日頃から褥瘡を作らないように予防する事が大切です。
ここでは、褥瘡を作らない体位交換や褥瘡の予防方法についてご紹介します。
目次
褥瘡(床ずれ)とは
褥瘡(床ずれ)とは、簡単に説明すると、骨などの出っ張っている部分を長時間圧迫することで、皮膚が赤くなりただれてしまったり、傷ができることを指します。
例えば寝ているとき、身体とマットは接した状態になります。自ら動くことのできる方は、寝返りを打つことで接している面を変えることで血流が悪くなるのを防げますが、自ら動くことのできない寝たきりの方などは、24時間365日、身体とマットが接しし続けることになります。骨の出っ張ている部分とマットが当たり続けることで、皮膚が赤くなったり、酷くなると骨が見えてしまうこともあるのです。
そのため褥瘡は、自力で寝返りを打つなどの体位交換ができない方がなりやすいとされています。
褥瘡のできやすいポイント
続いて、褥瘡のできやすいポイントはどこなのか?イラストを使って紹介していきます。
イラスト内の赤丸となっている部分が、骨が出っ張っているなどの理由で、褥瘡ができやすいポイントとなります。
仰向けで寝転がる(仰臥位(ぎょうがい))
横向きで寝転がる(側臥位(そくがい))
車いすなどの座り姿勢(座位)
以上のように、褥瘡ができやすい部分は多くの人に共通しております。
健常者からはあまり想像ができない踵や肘も、褥瘡のできやすいポイントとなりますのでご注意を!
また、褥瘡のできやすい部分を事前に知っておけば、ふとしたタイミングで褥瘡予防の行動をとれるようになります。この後に出てくる褥瘡予防の方法も、上のイラストをイメージしつつ読んで頂ければ、より理解しやすいかと思います。
褥瘡のための体位交換ポイント
褥瘡が起こるのはなぜか?そして、できやすい場所はどこなのか?を紹介してきましたが、今までのことから、褥瘡を作らないためには圧を分散させる体位交換が非常に重要であることを知って頂けたかと思います。
また、褥瘡は圧迫されることで出来るだけでなく、ベッド上などで身体を滑らせた際の摩擦で出来ることもあります。一人でガタイの良い方を体位交換する際は、どうしても服などを引っ張ってしまうかと思いますが、摩擦が大きく発生して褥瘡になる可能性が高いため、できれば二人で体位交換する事をお勧めします。
一人で体位交換をする際は、一回の動作で全身を動かそうとせず、上半身・腰・下肢等、部位的に体位交換を分けて行うことで、摩擦を軽減することができます。さらに、体位交換後には、体位交換によってできたしわによる圧迫をなくすため、身体を部位ごとに浮かし、皮膚や寝具のシワを伸ばすようにしましょう。
介助する側も負担の少ない体位交換方法を紹介してる動画がありましたので、参考にしてみてください。
・仰向けから横向きの体位交換方法
・横向きから仰向けの体位交換方法
また、人が寝転がったとき、骨の一番あたらない角度が30度と言われています。そのため、体位交換で横向きの姿勢となる際は、30度の傾きを保てるよう、クッションなどで姿勢を保持できるようにしておくと良いです。
・30度の傾きを作るための方法
体位交換の頻度
体位交換は基本、2時間おきに仰向け→横向き(右)→仰向け→横向き(左)を繰り返すのが良いとされます。しかし、2時間が適切かどうかは高齢者の状態によって変わってきます。
例えば、一切動けず体の感覚が全くない、寝返りもうてず、硬いベッドに寝続けている。
そういった高齢者であれば、同じ部位に圧がかかり続ける可能性が高いため、2時間おきに体位交換をする必要があるでしょう。
しかし、ベッドで寝続けてはいるが、寝返りはうてる、体の感覚はあって痛みを訴えることができる、体位交換用のクッションを使って、体に圧がかかる位置をコントロールできる。そういった高齢者であれば、体位交換を気にかける必要はないかもしれません。するとしても、1日に数回、同じ姿勢ではないか?をチェックする程度でよいでしょう。
褥瘡ができやすい部分を保護しよう。
体位交換の頻度は2時間おきが理想と紹介しましたが、2時間おきに夜中でも起きて、体位交換することは現実的には難しい話。そこでここからは、褥瘡を予防するためにできることを紹介していきます。
栄養バランスの取れた食事をしっかりと摂る
褥瘡と食事、一見特に関係がないように思えますが、食事を見直すことは褥瘡予防にとても効果的なのです。
痩せていれば、骨がその分出っ張ることが多いため、褥瘡になりやすいとされています。では、”丸々と太れば褥瘡予防に効果的!”となりますが、肥満であると、褥瘡以外の病気やケガを引き起こす可能性もあがります。
褥瘡を予防しつつ、他の病気やケガをしたくない場合はどうすればいいかと言うと、適切な体重を保つことです。標準体重を示すBMIを22に保つことが適切とされています。(BMI=体重÷(身長×身長))
そのため、定期的に体重を測り、体重が多ければ一品抜く、少なければ一品増やすなど、食事内容を見直していくことで、褥瘡の予防だけでなく、健康的な身体でいられる可能性が高まります。
褥瘡予防グッズを使う
褥瘡予防には様々なグッズが存在します。そこで、介護保険が適用できるグッズを中心に紹介していきます。
・静止型マットレス
→寝転がった際など、身体にかかる圧を分散させやすいマットレス
・圧切換型エアマットレス
→身体にかかる圧の部位を機械の力で移動させ、褥瘡を予防するエアマットレス
上記の商品を紹介しているのが、介護用品・福祉用具のレンタルと販売を行っているダスキンヘルスレント様。
プリマ床ずれ予防シートは、身体に直接貼るタイプの褥瘡予防グッズになります。褥瘡ができやすい部分に保護シールを貼っておくことで、予防効果があります。
※介護保険は使用できませんのでご注意ください
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