常食?ミキサー食?高齢者の食事形態とその理由とは!

健康な人や若者が病院に入院した際に出される病院給食は、普段よりちょっと味が薄めではあるものの、家でみている食事と変わりないものが出てきます。

しかし、高齢者施設(特別養護老人ホームや老人保健施設)や病院で高齢者向けに提供される食事には、様々な食事形態があります。

今回の記事では、高齢者のために工夫された食事形態について、管理栄養士である筆者が解説していきます。

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主食・おかず別に分類される高齢者の食事形態

バランスの良い食事をするおばあさん

食事形態は、主食(ごはん)と副食(おかず)に分けて分類されます。

主食(ごはん)の種類

ごはんの種類には次のようなものがあります。

・ごはん

・軟飯

・全粥(普通のおかゆ)

・ゼリー粥

・おもゆ

上記のつの分類が主となっていますが、全粥とおもゆの間には七分がゆや五分がゆなどが用意されてる施設もあります。

副食(おかず)の種類

おかずには次のような分類があります。

・常食

・軟菜

・一口大(粗刻み)

・刻み

・極刻み

・ミキサー

・ゼリー

・ソフト

これらの分類は、正確なガイドラインがあるわけではありません。

よって、施設ごとに基準が決められています。
A施設では、一口サイズの大きさを粗刻みと呼んでいるが、
B施設では、2センチ程度の大きさを粗刻みと呼んでいる、ということもあります。

そのため、高齢者が病院から老人保健施設に移るような場合は、管理栄養士や生活相談員が具体的な食事内容を確認し、患者・入居者にあった食事内容を決めているのです。

施設での食事は主食・副食別で決めている

最も元気な高齢者であれば、食事内容は「ごはん・常食」、少し歯が悪い程度であれば「軟飯・軟菜」などが提供されます。

嚥下に問題があるような高齢者であれば、「ゼリー粥・ゼリー菜」、歯欠損している高齢者では、「全粥・極刻み」などが提供されます。

しかし、嗜好性や食べやすさ、ご本人の希望などにより「軟飯・刻み」というケースや「全粥・常食」という方もいらっしゃいます。

次の章では、これらの食事形態について、詳しく解説していきます。

常食?ミキサー食?食事形態ごとの解説

おじいさんを食事介助する女性

次に、各食事形態について詳しく解説していきます。名称、呼び名、定義などは施設によって異なることも多いので、現在ご家族が入院・入所している方は施設の管理栄養士さんにも確認してみてくださいね。

常食・軟菜

常食は、その名の通り、通常の家庭で提供されるような食事形態です。一般的な煮物や炒め物、揚げ物などが献立に入っており、唐揚げやエビフライなども提供されます。

軟菜は常食とほとんど変わりませんが、食べやすいように柔らかく煮る、舌でつぶせる固さよりも少し固いくらい、などの工夫がされています。例えば、ゴマはしっかりすり潰して歯に挟まらない工夫をする、りんごはスライスやコンポートにする、トマトは湯剥きをする、などがほとんどの施設で行われている工夫です。

急性期病院では常食と軟菜が分かれているケースが多いのですが、高齢者の多いリハビリテーション病院や特別養護老人ホーム、老人保健施設などでは、その施設の常食を軟菜としている施設もあります。

一口大(粗刻み)・刻み・極刻み

一口大は、その名前の通り一口大のサイズ、つまり34センチ程度にカットされた食事です。施設によっては粗刻みと呼ぶこともあります。麻痺が残っていたり、もともと箸が苦手でスプーンで食べたい方、軟菜ではかき込みや一気飲みをしてしまう方などが対象です。やわらかいカレイのような魚では、あまり細かくしないが、鶏肉のようなしっかりしたものは細かくするなど、施設ごとに工夫がみられます。

刻み食は、5ミリから3ミリ程度に刻まれた食事です。嚥下や咀嚼に問題があり、粗刻みではサイズが大きい方が対象になります。食材は、できたものを包丁でカットする場合や、対象者が多い場合は初めから刻み食として作ります。

極刻みは刻みよりさらに小さく、1ミリ程度にカットした食事です。こちらも、刻みでは大きい方を対象としています。作り方は刻みとほぼ同じです。

刻み・極刻みは、離水してしまう場合には食材にトロミを付けるケースもあります。ただし、トロミは非常に難しいため、トロミのみ看護師や介護士が調整しながらつけていることもあります。

ミキサー・ゼリー

ミキサー食は、食材をミキサーにかけて、完全につぶしてしまう食事形態です。ブレンダーを使用して食材にだし汁を加え、ペースト状になるまでつぶします。その後、トロミ剤を加えて少しトロミをつけます。

ゼリー食は、施設によって基準が非常に大きく異なります。先ほど説明したミキサー食をゼリー食と呼ぶ施設もあれば、完全にゼリーの状態に固めるケース、後に説明するソフト食をゼリーと呼ぶケースなどもあります。

ミキサー食とゼリー食は、嚥下や咀嚼に問題がある方、舌や口で押しつぶすことが難しい方などが対象となります。

ソフト食

ソフト食は、噛むことや呑み込むことが難しくなった方を対象にした食事で、見た目を限りなく常食に近づけた食事です。

刻み食やミキサー食は、常食と比べると、見た目が美しくなく、食欲をそそりません。しかし、高齢者には常食を提供すると非常に危険であるということを解決するために作られました。

食材は、できるだけ柔らかい食材を使用することで加工しやすくしたり、脂身が多い魚や肉を使いまとまりやすくするなどの工夫があります。食材の選定だけで加工ができない場合は、にんじんやごぼうなどをミキサーにかけてゼリー剤で固める、それぞれを切って千切り風にし、まばらに盛り付けてきんぴら風にする、などの工夫もあります。

つまり、刻みやミキサーなどのように同じ加工の方法をするのではなく、食材ごとにたくさんの工夫をしているのがソフト食です。やわらか食と呼ばれることもあります。

ただし、ソフト食には手間がかかるという点から提供が難しい施設が多くあります。そのような施設では刻み以下をすべてソフト食にして手間を省いて提供している施設もあれば、人件費や設備費を投資し、細かい対応をしている施設もあります。

高齢者が一番食べやすい、食欲を取り戻してくれるのはソフト食です。しかし、介護保険や医療保険の加算が手間に対して十分ではない問題や、調理員の人手不足などの問題で、まだまだ提供できる施設は非常に少ないのが課題です。

最近では、各メーカーも冷凍や真空パックで簡単に使えるソフト食を開発しています。しかし、こちらも費用の問題やロットの問題で、簡単には導入できていないという課題があります。

ソフト食が世に出回って、高齢者でも食べやすい食事をとりまく環境は進化しつつありますが、まだまだ多くの課題が残されているのが現状です。

さいごに

家庭ではなかなか加工をすることが難しいため、家庭で料理を担当している方がここまでの対応をするには負担が大きいなどの問題もあります。

最近ではソフト食の宅配なども増えていますから、ご自身にあったサービスを選ぶことができれば良いですね。

ここまで、病院や高齢者施設で提供される食事について解説していきました。この記事を読むことで、入院・入所している、あなたの両親や祖父母、大切な家族がどのような食事を食べているのか、少しでも理解を深めていただければ幸いです。

また、窒息や誤嚥を防ぐために食事介助の前に確認しておく4つのことや、高齢者が誤嚥した際の対応方法とはも参考にしてください。

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