【虐待】高齢者への虐待を防ぐためにできることとは?

高齢化社会が進むにつれて、高齢者への虐待が問題となっています。厚生労働省によると、虐待件数は年々増えてきており、平成28年には約16750件(介護職員約450件、家族などの親族約16300件)にものぼりました。2014年には、関東の介護施設で介護職員が入居者を転落死させるなどという、『虐待』の一言では済まないような、前代未聞の事件まで発生しています。

なぜ高齢者虐待は起こるのでしょうか。そして、どうしたら防ぐことが出来るのでしょうか。今日は高齢者虐待の定義や原因・対応策について考えてみたいと思います。

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何を高齢者虐待というの?

ベンチに座るおじいさん

まず、どんな対応を高齢者虐待というのか確認しましょう。虐待には大きく分けて、身体的虐待・心理的虐待・介護放棄・性的虐待・経済的虐待の5種類があります。

①身体的虐待

高齢者に暴行を加えるのはもちろんのこと、過剰な身体拘束を行う場合などがここに当てはまります。発言や行動を強制的に抑制したり、むやみな投薬で動けない状態にしたりすることも身体的虐待に含まれます。

②心理的虐待

暴言を吐く、侮辱する、無視をするなど、心理的なダメージを与えることを言います。身体的な外傷は残りませんが、高齢者の心に深い傷を負わせ、生きるための意欲を奪ったり、自尊心を低下させたりする原因になります。

③介護放棄

健康や清潔を維持するために必要な介護を怠ったり、適切な支援を行わずに放置したりすることを言います。例えば、『オムツの取り替えが必要な高齢者にオムツ交換を行わない』、などの行為が挙げられます。

④性的虐待

高齢者に対してわいせつな行為をしたり、羞恥心を煽るような行動を強要したりするなど、性的嫌がらせを行うことを言います。『キスを強要する』、『服を着せず、全裸で過ごさせる』などがここに当たります。

⑤経済的虐待

財産を取り上げたり、本人の合意が無い状態で所有する権利を勝手に売ったりする行為がこれに当てはまります。日常的に必要になる金銭を渡さないといった行為もここに含まれます。

5つの中でも身体的虐待は最も多く、発生件数の6割以上を占めています。それ以降は、心理的虐待、介護放棄、経済的虐待、性的虐待と続きます。『虐待』と言うと、殴ったり蹴ったりということを想像しがちですが、実際には直接的に体に触れなくても虐待になるケースは多々あるのです。

虐待を行う人ってどんな人?原因は?

虐待の加害者で一番多いのは家族や親族と言われています。介護の多大なストレスに悩まされ、やり場のない不安や苛立ちが虐待に走らせてしまうケースが多いです。

他には、絶対にあってはならないことですが、介護施設の職員によるものも少なからずあります。この場合は、介護方法や病気についての知識不足や、マンパワー不足による過密勤務などから虐待を行ってしまうというケースが多くを占めます。

高齢者虐待はどうしたら防げるの?

高齢者の手を握る若者

年々増えていっている高齢者虐待。防ぐためにはどのようにしたら良いのでしょうか。5つの視点から考えてみましょう。

①介護方法や病気について正しい知識を学ぶ

介護を行う上での知識不足は虐待の原因になると言われています。例えば、認知症。声かけや環境を工夫することで、案外あっさりと悩みが解決するかもしれません。逆に、正しい知識が無いと、良かれと思った対応で高齢者の問題行動を誘発してしまい、介護がさらに苦しくなる場合もあります。心にゆとりを持って対応できなければ、虐待に繋がる可能性が高まります。病気について正しい知識を学べるよう、本や勉強会などで知識を取り入れるほか、専門医・看護師・リハビリ職員・介護士などの専門家に相談するのもオススメです。

日常的にしていることが実は虐待に当たるといった、代表的な具体例を紹介した記事、〇〇も介護虐待!あなたも無意識でしているかも?も参考にしてください。

②高齢者虐待の事例を学ぶ

先も述べた通り、虐待とは殴ったり蹴ったりすることだけではありません。「私は大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに暴言を吐いていたり、介護を放棄していたりすることがあるかもしれません。このように、虐待への認識が甘いことも、根絶が難しい原因になっていると思われます。ニュースや週刊誌で高齢者虐待事例が報道されていますが、「私には関係無い」と思わず、普段の自分の言動を振り返るきっかけにしてみてください。そして、なぜ虐待が起こったのか・どうしたら防げたなど、同じ間違いを起こさないよう考える機会を作っていきましょう。

③なるべく高齢者と二人きりにならない

高齢者によっては、暴力的だったり、無理難題を言ってきたりと、対応に苦戦する方もいます。「どうしてもカッとなってしまう」という時は、自分一人でなく、他の誰かと一緒に対応しましょう。人の目は何よりの虐待抑止力になります。また、周囲に協力を求めることで悩みを共有することが出来ますし、困った時に相談相手にすることも出来るかもしれません。

介護で疲れた自分に息抜きを!在宅サービス「訪問介護」を利用するのも一つの手でしょう。

④面会する機会を増やす

施設に高齢者を預けている家族の場合、面会回数を増やすことをお勧めします。施設職員による虐待は閉鎖的な場所でこそ起こりやすくなります。人の目を増やし、風通りを良くすることで、異変に気づきやすくするだけでなく、虐待の発生自体を抑える効果があります。さらに言えば、徘徊や暴力といった施設職員を悩ませる高齢者の問題行動は、家族の顔を見るだけで緩和することも多いのです。高齢者が穏やかに過ごせるようにするためにも、ぜひ面会の機会を作ってみてくださいね。

⑤高齢者の異変を見逃さない

例えば、『最近明らかに元気がなくなった』『体をよく見たらアザがたくさんあった』など、高齢者の小さな変化を見逃さないようにしてください。もしかしたら、どこかで虐待を受けているかもしれません。高齢者が自分からこうした被害を訴えられる方であれば良いですが、認知症により難しいこともありますし、怖くて話せないことも考えられます。周りからみていて、「おかしいな」「様子が違うな」と思ったら、信頼できる人やケアマネージャー、地域包括センターなどに早めに相談しましょう。

高齢者も人間ですが、介護者も人間です。虐待は絶対にあってはならないことですが、あまりに過酷な介護環境では、つい苛立ってしまうこともあるでしょう。介護者が自殺することすらある時代ですから、状況や理由を聞かずに頭ごなしに責めることは出来ないと思います。大事なことは、虐待を防げるようにみんなで協力すること。『介護を家族に任せっぱなし・施設に預けっぱなし』ではなく、関わる人みんなが協力しあい、悩みを相談したり、情報を共有したりできる環境を作ることが必要です。そして、お互いの目を持って虐待の抑止力をすることが一番効果的だと思います。

さいごに…

余談ですが、私は高齢者の方の昔話をよく聞くようにしています。どんな仕事をしていたのか・どこで生まれて・何人家族で・どんなものが好きなのか…など、個人誌が中心です。

介護をしていると、ついつい相手を『要介護者』としか見なくなっていきます。でも、こうした話を聞くことで、「要介護者である前に、一人の尊厳ある人間なんだ」と気づき、大事にしなくては…という思いが強まります。また、一緒に過ごした中でのちょっとした面白エピソードや笑顔を思い出しては、介護の力に変えています。

高齢者の介護は辛いことも多いですが、辛い中にも楽しみや、ホッとする瞬間を見つけられると良いですね。在宅介護の理想と現実。経験者だから分かる乗り切る方法とは!認知症の母が嫌い!そんな風に感じたら・・・。などの在宅介護の体験談を綴った記事も、心の支えになってくれるかもしれません。

今後ますます増えていくことが予想されている高齢者。虐待の件数増加がここでストップすることを願うばかりです。

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